新千歳空港の雪での欠航基準は?冬の飛行機の意外な欠航理由
札幌雪祭りや冬の小樽、ニセコのスキーリゾートと冬の北海道は観光のハイシーズン♪
この時期を狙って北海道に旅行にいく人も多いですが、そこで心配になるのが雪による飛行機の欠航ですよね。
旅行の日程が近づくとちゃんと飛行機が飛ぶか心配で天気予報を毎日チェックしてしまったり。
そこで今回は新千歳空港の雪による欠航の基準や、意外と知らない雪以外の欠航理由についてお話しますね。
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<目次>
新千歳空港の雪での欠航基準
私も札幌に住み始めたばかりの頃は自分が飛行機に乗る日の天気予報に雪マークがつくと「え?大丈夫かな?」と心配になっていたものです。
が、
これが意外と新千歳空港は冬でもふつうに飛行機とんでるんですよね。
拍子抜けするくらい。
ふつうに雪が降ってるだけなら飛行機はちゃんと飛ぶし着陸もできます。
実は新千歳空港で雪の影響で飛行機が欠航する場合、雪が降るから欠航するんじゃなくて、正確には
雪が大量に積もって除雪作業が間にあわなくなると欠航
になるんです。
え?よくわからん?って感じかと思うので詳しく説明しますね。
冬の札幌や新千歳ではほぼ毎日といっていいくらい雪が降るんですけど、雪が降ること自体はたいした問題じゃなくて、ポイントになるのはその雪がどんな雪でどれくらい積もるのかということなんです。
まず、雪が降る空港では国土交通省が決めた飛行機の欠航基準というのがあります。
積雪5.1cm以上のWet snow
積雪7.1cm以上のDry snow
積雪15.3cm以上のDry snow
Slush:水分を充分に含んでいて蹴ると水しぶきがあがる状態
Wet snow:水分を多く含んでいて握ると水が出てくる状態
Dry snow:乾いていて降ってからあまり時間が経っていない状態
という具合に、積雪量と雪質の組み合わせで欠航させるかどうかが決まっています。
あまりに雪がいっきに降ると滑走路の除雪に時間がかかってしまい飛行機の発着時間を過ぎてしまって欠航になる。
さらに、積雪量がそんなに多くなくても水分を含んでべちゃべちゃの雪だったりすると滑走路が滑りやすくなるので欠航になることもあります。
新千歳空港の除雪対策
新千歳空港の除雪隊は国内最強レベル
で、新千歳空港はもともと雪がたくさん降る地域に作られた空港なので雪への備えはかなりしっかりしています。
しかも、新千歳空港は「北海道の空の玄関」といわれる道内最大の空港。
1日の発着便は300便とも言われていて国内線だけでいえば国内トップ3に入る大きな空港です。
なので、そんな簡単に雪による欠航が出ないようにいろいろ準備してます。
さらに、2016年12月に異例の大雪の影響で1302便もの欠航が出たことで新千歳空港ではさらに除雪に力を入れるようになりました。
なので、今では雪の降るシーズンになると
90台ほどの除雪車と200人近いスタッフを投入して24時間態勢で除雪作業にあたっています。
ちなみに、新千歳空港で活躍している除雪車両にはこんなものがあります↓
- スノースイーパー除雪車(高速回転ブラシと強力送風機で雪を掃き飛ばす)
- スノープラウ除雪車(路面の雪を押し出す、除雪の主力)
- スノースウィーパー除雪車(強力なブラシ&ブロアで雪を取り除く)
- ロータリー除雪車(かき集めた雪を粉々にして投雪)
- 大型薬剤散布車(凍結防止剤を散布)
高性能なスノープラウ除雪車に高性能スイーパー除雪車が連結されて、滑走路の雪をいっきに押し出した後に残った雪を回転ブラシで書き出して送風機で吹き飛ばすというのがメインの除雪作戦です。
しかも新千歳空港ではこの連結車両10組がV字型に並んでどんどん滑走路の脇に雪をかきだしていきます。
で、一番両端にいるロータリー除雪車がまわってきた雪をボンボン滑走路の外に投げ捨てる!
この12列の除雪車を滑走路の端から端までいっきに走らせることで片道行っただけでいっきの滑走路の除雪が完了するという最強の布陣です。
新千歳空港の滑走路は長さ3000m、幅60mで単純に計算すると除雪しなきゃいけない面積が180,000平方メートルもあります。
180,000平方メートルってピンとこないかもしれないですけど、イメージで言うと野球場が4つくらい入る広さです。
この広さに積もった雪を除雪するのに新千歳空港でかかる時間は
最短で20分!
もし20cmの積雪があっても40分ほどあれば除雪できてしまうという驚異的なスピードを誇っています。
ちなみに、もし同じことを羽田空港でやろうとしたら・・・終わりが見えない。
さらに新千歳空港には滑走路が2本あるので、除雪作業をする時も必ずどちらか1つの滑走路は利用できるようにして空港が運行できるようにしています。
冬の新千歳空港の除雪以外の雪対策
さらにさらに、新千歳空港は滑走路の除雪意外にも雪への対策をしているんです。
それがデアイシング専用エプロン!
デアイシング?何それって感じですよね。
私もはじめて聞いたときそう思いました。
雪が降っていると飛行機の機体にも雪や氷がたくさんついてしまって、離陸するにはそれを一度落とさないといけないんです。
この機体についた雪や氷を取り除く作業をデアイシングっていいます。
新千歳空港では以前はこのデアイシング作業をターミナルビル前の駐機場でやっていたんですよ。
で、それが終わってから滑走路まで移動します。
ところが!
新千歳空港の場合、この滑走路までの移動が国内線ターミナルからいくと約3km、国際線ターミナルからだと5km以上もある。
なので、滑走路まで移動している間に機体にまた雪や氷がついてしまう・・・
そうなるともう一度ターミナル前まで戻ってデアイシング作業をやり直さないといけなくなるという
便数の多い新千歳空港ではこれをくり返してるとあちこち混雑したり渋滞してくるので遅延や欠航が増えてしまう。
ということで、新千歳空港では国内で初めて滑走路の近くにデアイシング専用の駐機場が整備されました。
そうすることで、デアイシングしてから滑走路にいくまでの時間を短くして機体に雪や氷がつく前にどんどん飛ばすという作戦です。
冬の新千歳空港の積雪以外の欠航の原因
実は冬の新千歳空港で飛行機が欠航する理由って雪が積もること以外にもいろいろあるんですよ。
機体トラブル
まずはさっき説明した機体に雪や氷がついてしまうというあれ。
飛行機ってそんなちょっとのことで飛ばなくなるの?って私も最初思ったんですが、これが結構重要で。
特に飛行機の翼に雪が積もって氷になってしまうと飛行機が飛ばなくなってしまいます。
というのも、飛行機は翼の上と下に風を流すことで上向きに働く揚力を生み出して機体を押し上げて飛ぶようにできてます。
ところが、翼に氷がついて翼の形が変わってしまうとこの揚力がうまく発生しないので気体が浮かなくなってしまうんです。
そこで、デアイシング作業が必要というわけです。
強風を当てて機体についた雪を飛ばしたり、お湯や薬剤をかけて氷を溶かし、新しい雪がつきにくくします。
横からの強風
次に風の影響です。
飛行機は飛んでいるときに風に吹かれてもそれほど問題ないんですが、離着陸の時に横風を受けるとものすごく弱いんですね。
翼が地面に押し付けられるようになり安全に離着陸ができなくなるので、大きな事故につながる恐れがあります。
そのため、滑走路に対して横方向からの風が強いと欠航になることがあります。
だから天気予報を見てて気をつけたいのはただの雪よりも暴風雪とか強風ですね。
ちなみに、離着陸の時の横風制限は機体の種類によっても違うし、同じ機体でも航空会社によっても運行基準に差があります。
なので、同じ天気でも前の飛行機は飛べたのに自分の飛行機は欠航・・・なんてことも起こりえるわけです。
視界不良
大雪や暴風雪の時は視界不良も欠航の原因になります。
正直、新千歳空港は滑走路の除雪能力がかなり高いので雪での欠航の場合、雪そのものよりも吹雪いて視界が悪くなるという理由のが多いかもしれません。
当たり前ですが前が見えない状態で飛ぶのはものすごく危険で難しいし、パイロットの技術もいります。
視界不良での欠航についても航空会社によって基準に多少差があります。
あと、最終的に飛べるかどうか判断するのは機長やパイロットなので経験の差や資格の違いも関係してきます。
機体がない
一番残念なのが自分が乗るはずの飛行機が新千歳空港に着ていないという状態です。
新千歳空港に向かっていた飛行機が天候が悪くて出発空港に引き返したり別の空港に着陸してしまった場合、その便を使うはずだった新千歳空港からの便は欠航になります。
大手だと代替機があるなんてこともなくはないけど・・・
もともと持ってる機体の数が少ないLCCはこの理由での欠航が多いです。
新千歳空港の冬の欠航まとめ
私もよく冬の新千歳空港を利用してましたが今まで一度も欠航に当たったことはないので普段からそんなにばんばん欠航が出るってわけでもないです。
ただ、冬の北海道の天気は読めないし、年に一度あるかないかの確立で空港閉鎖もあるので、万が一の欠航に備えて事前に知っておきたいことをこちらにまとめておきました↓
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